元交際相手からの嫌がらせ…接近禁止命令はどう出す?

元交際相手からの嫌がらせ…接近禁止命令はどう出す?

 

元交際相手からの嫌がらせ行為は、精神的な苦痛だけでなく、生活への悪影響も深刻です。接近禁止命令を取得することで、法律的に相手の接触を制限できます。本記事では、嫌がらせの具体例やストーカー規制法との関係、接近禁止命令の申立方法、必要な証拠、警察や裁判所の対応、命令後の注意点までを詳しく紹介。正しい対処を知ることで、安全と安心を取り戻す一歩を踏み出しましょう。

 

 

チェックリスト
  • 元交際相手の嫌がらせ行為が対象になるケース
  • 接近禁止命令を出すために必要な証拠とは
  • 警察や弁護士に相談すべきタイミング
  • 裁判所への申し立てとその流れ
  • 接近禁止命令後にすべき安全対策

接近禁止命令の法的根拠とは?

ストーカー規制法による保護のしくみ

「ストーカー規制法」は、正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といい、恋愛感情やそれに類する感情を動機としたつきまといや嫌がらせ行為を禁止する法律です。元交際相手からの一方的な連絡、待ち伏せ、自宅や職場周辺のうろつき、SNSでのしつこい投稿なども、この法律の規制対象になる可能性があります。警察に相談すると、加害者に対し「警告」や「禁止命令」を出すよう動いてくれます。禁止命令が出た後も嫌がらせ行為が続いた場合、加害者は刑事罰(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)を受けることもあります。ただし、この法律が適用されるためには、行為が「ストーカー行為」に該当すると認定される必要があります。繰り返し行為であることや、被害者が明確に拒絶している意思表示をしていることが重要な要素です。

 

 

接近禁止命令の種類と適用条件

接近禁止命令には、大きく分けて以下の2種類があります。

 

接近禁止命令の種類
  • 警察が出す禁止命令(行政命令): ストーカー規制法に基づき、都道府県公安委員会が加害者に対して接近を禁止する命令を出します。この命令には、被害者の住居・職場・学校への接近、電話やSNSでの接触などが含まれます。
  • 裁判所が出す仮処分命令(民事保全命令):嫌がらせが継続している場合や、警察の介入では解決が難しい場合に、裁判所に「仮処分」を申し立てることが可能です。仮処分は、被害者の権利侵害を防ぐための緊急的な措置であり、違反した場合には強制執行や刑事罰の対象となることもあります。

 

どちらの命令も出すためには、「嫌がらせ行為の具体的証拠」と「被害の深刻性」の証明が必要です。よって、日常の記録や証拠の蓄積が極めて重要になります。

 

 

接近禁止命令の申立から発令までの流れ

接近禁止命令を出してもらうには、一定の手続きが必要です。大まかな流れは以下のとおりです。

 

接近禁止命令を出すのに必要な手続き
  1. 被害状況を記録・証拠を収集 :LINEやメール、着信履歴、防犯カメラ映像、証人の証言などをできるだけ記録しておきましょう。
  2. 警察署への相談・届出 :   証拠をもとに警察に相談し、警告や禁止命令を求めます。ストーカー規制法に該当すると判断された場合、警告が出されることがあります。
  3. 禁止命令の発出(警察):警告を無視して嫌がらせが続く場合、公安委員会により禁止命令が発出されます。

 

裁判所への仮処分申し立て(必要に応じて) 警察による対応だけでは不十分な場合、民事保全として仮処分命令を裁判所に申し立てることもできます。この際、弁護士への相談が推奨されます。手続きのどの段階においても、証拠の信頼性と被害者の被害感情の明確な表明が不可欠です。また、事案の深刻さによりスピード対応が求められることもあるため、早期の相談が大切です。

 

 

嫌がらせ行為の具体例と判断基準

どんな行為が「嫌がらせ」と認定されるのか?

嫌がらせ行為が法律上問題となるためには、一定の基準を満たす必要があります。元交際相手による行為でも、「単なる感情の行き違い」ではなく、相手の意思を無視し、継続的に心理的・身体的な苦痛を与える行為であることが重要です。

 

代表的な嫌がらせ行為の例
  • 毎日のようにLINEやメール、SNSのDMを送り続ける
  • 無言電話や深夜の電話を繰り返す
  • 自宅や職場の付近に現れる、待ち伏せする
  • 職場や友人に対して虚偽の情報を広める
  • プレゼントを繰り返し送る
  • 第三者を使って接触を試みる

 

これらの行為が一度きりではなく「繰り返し」行われている場合、ストーカー行為または付きまとい行為として認定される可能性があります。行為の継続性や、相手の拒否意思を無視しているかどうかが重要な判断ポイントです。

 

 

ストーカー行為と単なる連絡の違い

よくある誤解として、「ただ連絡してくるだけなら問題ないのでは?」という考えがあります。しかし、相手が明確に拒否の意思を示しているにもかかわらず、それでもなお連絡を繰り返す行為は、ストーカー行為とみなされる可能性があります。例えば以下のようなケースは、ストーカー行為として扱われる可能性が高いです。

 

ストーカー行為とされる可能性の高いケース
  • 「別れたい」と伝えた後も何度も電話やメールをしてくる
  • ブロックしたSNSに新しいアカウントを作って接触してくる
  • 自宅や勤務先に無断で訪問する
  • 「会いたい」「返事をして」などと心理的圧力をかけるメッセージを連投する

 

これに対して、相手の行動が一度限りであり、悪意のある意図が見えにくい場合は、警告レベルで終わるケースもあります。ただし、被害者が強く恐怖や不快感を感じている場合は、証拠を集めて対応することが大切です。

 

 

嫌がらせ行為を証明するために必要な視点とは

接近禁止命令を求める際には、「相手の行動が継続的で、明確な拒否を無視している」という点を客観的に示す必要があります。そのためには、感情的にならず、冷静に証拠を記録する姿勢が重要です。

 

証明に有効な視点・証拠の例
  • メッセージの日時、内容、頻度(LINE・SMS・メール等のスクリーンショット)
  • 通話履歴のスクリーンショットや録音
  • 自宅周辺での目撃情報(防犯カメラ・写真・動画)
  • 同僚や友人など第三者の証言
  • 被害者自身の日記やメモ

 

また、警察に相談した日時や対応の内容も記録しておくと、後の手続きに役立ちます。被害者が「どれほど精神的に追い詰められているか」という視点も、判断材料として重要視されます。自分では「これくらい大げさかも…」と思ってしまうような内容でも、後になって大きな証拠になることがあります。とにかく記録を取ること、そして早めに信頼できる第三者(警察・弁護士・相談窓口)に相談することが、被害の拡大を防ぐ鍵となります。

 

 

接近禁止命令を申し立てるための手続き

警察への相談から始めるべき理由

接近禁止命令の手続きは、まず警察への相談からスタートするのが一般的です。なぜなら、ストーカー規制法に基づく禁止命令は、警察の判断と勧告を経て、都道府県公安委員会が発出する仕組みだからです。

 

警察に相談する際のポイント
  • 具体的な被害内容を時系列で説明できるようにしておく
  • LINEや着信履歴、訪問の証拠(日時・場所)をまとめておく
  • 可能であれば証拠をプリントアウトしたり、スマホで提示できる状態にする

 

警察では、被害の深刻度や証拠の有無をもとに、まず「警告」を出すことがあります。これにより相手が行動をやめれば、その後の法的措置が不要になる場合もあります。しかし、警告を無視して行為が続いた場合には、「禁止命令」や、さらに厳しい対応が検討されます。警察に相談することは、単なる記録の一部ではなく、「公的な被害申告」という大きな意味を持つ第一歩です。

 

 

仮処分を申し立てる手続きの流れ

警察による禁止命令とは別に、民事の手段として仮処分命令を裁判所に申し立てることもできます。これは、相手に対して「接近禁止」「連絡禁止」などの命令を民事的に出す制度で、命令違反には強制執行や過料が科されることもあります。

 

仮処分の手続きの流れ
  1. 弁護士などの専門家に相談
  2. 被害状況や証拠を整理し、仮処分申立書を作成
  3. 地方裁判所に仮処分を申し立てる
  4. 裁判所が審査(緊急性が高い場合は即日決定も)
  5. 命令が出された場合、加害者に送達・履行される

 

仮処分の特徴は、裁判の判決を待たずに早期に保護措置を講じることができる点です。そのため、「今すぐ身の危険がある」「警察の対応では間に合わない」といった場合に非常に有効です。申立にあたっては、法律の専門知識が必要となるため、弁護士のサポートが不可欠です。

 

 

必要書類と準備すべき情報とは?

接近禁止命令や仮処分を申し立てる際には、被害者側でしっかりと準備をすることが成功のカギになります。必要となる書類や情報には以下のようなものがあります。

 

法的手続きをする際に準備しておくもの
  • 被害報告書(経緯をまとめたメモ):いつ、どこで、何があったかを時系列で記録しておきましょう。
  • 証拠資料 :LINE、メール、着信履歴、写真、録音、防犯カメラ映像、SNSの投稿など。スクリーンショットやプリントアウトも有効です。
  • 本人確認書類(免許証、保険証など) :裁判所や警察での手続きに必要です。
  • 相談記録 :警察・弁護士・相談窓口でのやり取りや対応日時などのメモも重要な資料となります。
  • 加害者の情報 :名前、住所、連絡先、勤務先などが分かる場合は控えておきます。

 

事前にこれらを揃えておくことで、警察・弁護士・裁判所への対応がスムーズになり、被害の深刻さを客観的に伝えることができます。感情的になりがちな状況でも、冷静に準備を進めることが、身を守る第一歩です。

 

 

証拠の集め方と保存方法

証拠の種類と効果的な集め方

接近禁止命令を出してもらうには、相手の行為が明確に「継続的な嫌がらせ」に該当していることを示す具体的な証拠が必要です。感情的な主張だけでは不十分で、客観的な証明が求められます。主な証拠の種類は以下の通りです。

 

手続きにおいて有効な証拠
  • メッセージの記録(LINE・SMS・メール等) 日時・内容・頻度が分かる形で保存しておきましょう。
  • 着信履歴・通話履歴 ;無言電話や深夜の電話も、嫌がらせとして評価される場合があります。
  • 写真・動画 ;自宅や職場周辺に現れた場面、防犯カメラ映像などは非常に有効です。
  • 第三者の証言 同僚や友人など、行為を目撃した人の証言も証拠になります。
  • 日記やメモ 被害内容を日々記録しておくことも、証明材料となります。

 

これらは、できるだけ時系列で整理し、「いつ・どこで・何があったか」を明確にしておくと、警察や弁護士にも伝わりやすくなります。

 

 

デジタル証拠の取り扱いと注意点

近年では、LINEやSNSなどのデジタルコミュニケーションが証拠の中心となっています。これらの証拠を有効に使うためには、正しい保存方法と改ざんされていない証明が求められます。ポイントは以下のとおりです。

 

デジタル証拠の扱いにおける注意点
  • スクリーンショットは原文のまま保存 加工は絶対に避け、連続性のある形で保管しましょう。
  • ログのバックアップ LINEは設定からトーク履歴のバックアップが可能です。万が一の削除や故障に備えておきましょう。
  • SNS投稿はURLごと保存 相手が削除する前に、投稿日時が確認できる状態で保存してください。可能であればブラウザの「ページ保存」も行いましょう。
  • 通話は録音アプリを活用  相手が暴言を吐いた場合などは、録音が非常に強力な証拠になります(通話の録音は自動録音アプリを利用するのも有効です)。

 

これらの証拠は、改ざんされていないことが重要です。信頼性を確保するためにも、できればクラウドや外部メディアに保管し、必要に応じて弁護士などの専門家に共有しましょう。

 

 

証拠が少ない・残っていない場合の対応策

被害を受けていても、「恐怖で証拠を残せなかった」「スマホを初期化してしまった」などの事情で証拠が乏しいケースもあります。そんな時でも諦める必要はありません。以下のような対応でカバーできることがあります。

 

証拠がない場合の対応策
  • 状況説明を詳しく記録する 過去の記憶をもとに、できるだけ詳細に被害の経緯を文章で残しておきましょう。日付や時間、場所、相手の言動などを具体的に書くことが大切です。
  • 今後の証拠収集を徹底する 再発の可能性を踏まえ、これから起こる嫌がらせにはすぐ対応できるように準備を整えましょう。録音アプリや防犯カメラの設置も検討してください。
  • 第三者の証言を得る 家族、友人、職場の上司など、加害者の行為を知っている人の証言も証拠になります。特に「本人から直接聞いた」という話は有効です。
  • 専門機関への相談記録を残す 警察、法テラス、女性センターなどへの相談履歴も被害の裏付けになります。対応した担当者名や相談内容を記録しましょう。

 

証拠が不十分であっても、積み重ねによって被害の信憑性は高まります。「何もないから無理」と思わず、少しずつでも記録を積み上げることが、今後の法的保護に繋がるのです。

 

 

警察や弁護士への相談タイミングと準備

警察に相談すべきタイミングとは?

元交際相手からの嫌がらせが始まった時、「これくらいで警察に行っていいのだろうか?」とためらってしまう方も少なくありません。しかし、早期に相談することは、被害の拡大を防ぐためにも非常に重要です。以下のような状況が見られたら、すぐに警察へ相談しましょう。

 

警察に相談するタイミング
  • 一度断ったにも関わらず連絡が繰り返される
  • 自宅や職場の周辺に現れるようになった
  • SNSでの監視・攻撃が始まった
  • プレゼントや手紙がしつこく届く
  • 恐怖心や生活への影響が生じている

 

警察では、ストーカー規制法に該当するかどうかを判断し、必要であれば警告や禁止命令の手続きへと進めてくれます。相談内容は記録に残されるため、今後の証拠としても有効です。「まだ大ごとにはしたくない」という不安がある場合でも、まずは相談だけでも構いません。匿名相談を受け付けている警察署もありますので、心配な方は一度電話で問い合わせてみましょう。

 

 

弁護士に相談するメリットとタイミング

警察への相談と並行して、弁護士に早めに相談することも非常に効果的です。とくに、法的手続きを視野に入れる場合や、相手との関係が複雑である場合は、専門的なアドバイスが必要になります。

 

弁護士に相談するメリット
  • 自分のケースがどの法律に当てはまるかを判断してもらえる
  • 仮処分や慰謝料請求など、法的手段の選択肢を提案してもらえる
  • 相手との接触を避けるための法的文書(内容証明等)の作成代行
  • 書類作成や手続きの代行で精神的負担を軽減

 

タイミングとしては、「警察に相談しても解決しない」「証拠がそろってきた」「本格的に接近禁止命令や訴訟を考えたい」と思った段階での相談が適切です。また、仮処分の申し立てには弁護士のサポートがあるとスムーズに進みます。費用が不安な方は、法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談や、初回無料相談を提供している弁護士を利用するのも良い方法です。

 

 

相談前に準備しておきたい情報と資料

警察や弁護士への相談をよりスムーズに、効果的にするためには、事前に必要な情報や資料を整理しておくことが大切です。

 

準備しておきたい内容
  • 被害の時系列メモ(日時・場所・内容)
  • LINE・メール・着信履歴のスクリーンショット
  • 写真・動画・録音などの物的証拠
  • 相手の氏名・住所・連絡先(分かる範囲で)
  • 自分の身の回りの状況(住所、勤務先、通勤経路など)
  • 既に相談した機関や支援団体の情報

 

また、相談したい内容を箇条書きにしておくと、相談時に話がまとまりやすくなります。感情的になりすぎて必要なことを伝えられないという状況を防ぐためにも、冷静に事実を整理しておくことがポイントです。特に弁護士相談では、「どうしてほしいのか」「何に一番困っているのか」を明確にすることが、より適切な解決策につながります。些細なことでも構いませんので、気になることはすべてメモして持参しましょう。

 

 

LINE相談

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接近禁止命令が出された後の流れと注意点

接近禁止命令が発令されたあとの生活の変化

接近禁止命令が発令されると、加害者には被害者の身辺への接近や連絡行為が法的に禁止されます。具体的には、以下のような行為が禁止対象になります

 

接近禁止命令が発令されると禁止になる行為の例
  • 自宅や勤務先、学校への立ち入り・接近
  • 電話、メール、SNSメッセージなどによる接触
  • 被害者の家族や関係者への接触
  • 尾行、待ち伏せ、監視的な行動

 

この命令は法律に基づく効力を持ち、違反があった場合は警察による逮捕や罰則の対象になります。そのため、加害者側にとっても強いプレッシャーとなり、多くのケースで嫌がらせ行為が停止します。ただし、被害者側も生活を元に戻すには時間が必要です。不安が完全に消えるわけではないため、防犯意識を持ち続けながら、徐々に日常を取り戻していくことが求められます。

 

 

禁止命令違反があった場合の対応方法

万が一、禁止命令が出されたにもかかわらず、加害者が再び接近や連絡を行ってきた場合は、直ちに警察へ通報してください。禁止命令違反は刑事罰の対象であり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(ストーカー規制法違反)、場合によっては緊急逮捕・勾留される可能性もあります。また、民事上の損害賠償請求の対象にもなり得ます。対応時には再度の嫌がらせ行為があった日時や内容を必ず記録するようにしましょう。メッセージや着信履歴などは削除せず保存し、身の危険を感じた場合は、ためらわずすぐに110番通報するようにしてください。再発の可能性がある場合には、弁護士と連携し、刑事告訴や民事訴訟へと進む選択肢もあります。命令違反は被害者の安全を直接脅かす重大な行為であり、決して軽視せず、速やかな対処が必要です。

 

 

命令後も続けるべき防犯対策とは?

接近禁止命令が出されたからといって、すべての危険がなくなるわけではありません。万が一に備えて、防犯対策を継続することが重要です。特に発令直後は、加害者が感情的に反応するケースもあるため、慎重な対応が必要です。

 

おすすめの防犯対策
  • 防犯カメラ・録画機器の設置(自宅・玄関・駐車場など)
  • 通勤ルートや生活パターンを一時的に変える
  • 職場や家族への情報共有(非常時の対応を伝えておく)
  • 110番アプリのインストール(緊急時の通報がスムーズ)
  • 防犯ブザーやGPS付きスマホの携帯

 

また、地元の警察署に相談し、「パトロールの強化」や「緊急通報体制」について事前に確認しておくと安心です。自身の身を守る行動を継続し、法的措置と併せて「予防」も意識しましょう。

 

 

接近禁止命令が出ない場合の代替手段

仮処分申立による民事的な保護

接近禁止命令が出されなかった場合でも、被害者が自分の安全を守るために取れる手段があります。そのひとつが、民事裁判所に申し立てる「仮処分」です。仮処分は、裁判所が緊急的な措置として、加害者の行動を制限する命令を出す手続きです。たとえば、被害者への接触の禁止や、一定の距離を保つよう命じるなど、具体的な制限を加えることができます。ストーカー規制法に基づく命令が不十分であったり、適用外であったとしても、仮処分によって相手に対する法的拘束力を持つ対応が可能です。申立には、証拠や被害の内容を整理して提出する必要があるため、法律の専門家である弁護士に相談しながら進めるのが望ましいです。

 

 

慰謝料請求や損害賠償による法的圧力

嫌がらせが続き、精神的苦痛や生活への被害が生じている場合には、民事訴訟を通じて加害者に対して慰謝料や損害賠償を請求することも可能です。これは、加害者に経済的な責任を負わせることで、被害の重大さを示し、今後の嫌がらせ行為の抑止にもつながります。被害者が受けた精神的な苦痛を金銭的に評価し、裁判を通じて補償を求める手続きとなりますが、実際には訴訟前に内容証明郵便で通知を送り、交渉に入るケースもあります。この方法は証拠がある程度そろっており、相手の身元や連絡先が把握できている場合に効果的です。精神的・時間的な負担もあるため、こちらも弁護士との連携が重要になります。

 

 

調停制度を利用した話し合いの選択肢

直接の対決を避けつつ問題を解決したい場合、家庭裁判所などで行われる調停手続を利用することも一つの手段です。調停では中立的な第三者(調停委員)が間に入り、当事者同士が冷静に話し合いを進められる環境が整っています。接近禁止命令や仮処分ほどの法的拘束力はありませんが、話し合いによって和解や合意を目指すことで、相手の行動を抑制する効果が期待できます。特に、相手が法的措置には過敏だが話し合いには応じる姿勢を見せているようなケースでは、調停が適切に機能することがあります。ただし、相手が過度に攻撃的だったり、話し合いに応じる意思がまったく見られない場合は、他の強制力のある手段を優先するべきでしょう。

 

 

被害者支援とメンタルケアの重要性

精神的ショックに向き合うには専門的支援が必要

元交際相手からの嫌がらせは、単なる迷惑行為ではなく、被害者にとって深刻な精神的ダメージを与えることがあります。不安で外出できなくなったり、眠れなくなる、食欲がなくなる、対人関係が怖くなるなど、日常生活にまで支障をきたすケースも少なくありません。特に「元恋人」という過去の信頼関係があった相手からの攻撃は、裏切りや恐怖という感情を伴いやすく、心の傷は予想以上に深くなる傾向があります。こうした状況では、自分ひとりで抱え込まず、早めに専門的なメンタルケアを受けることが大切です。カウンセリングを通して心の状態を整理することで、自分を責める気持ちを軽減し、安心を取り戻すための第一歩を踏み出すことができます。

 

 

心のケアを受けられる場所とサービス

心の傷を癒すためには、信頼できる第三者に話を聞いてもらうことが非常に効果的です。現在では、全国各地の自治体や民間団体によって、無料・低額で利用できるカウンセリングサービス支援制度が提供されています。多くの自治体には「女性センター」や「配偶者暴力相談支援センター」などが設置されており、対面・電話・オンラインでの相談に応じています。また、法テラスでも弁護士だけでなく、精神的支援に関する案内も受けることができます。民間の臨床心理士やカウンセラーによるオンライン相談も増えており、外出が不安な人でも自宅から安心して支援を受けることが可能です。誰かに話すことは、思っている以上に心の負担を軽くします。大きな決断をする前に、一度立ち止まって心の状態を整えることも、被害から立ち直るための大切なプロセスです。

 

 

孤立を防ぐために周囲とのつながりを意識する

嫌がらせ被害に遭っていると、人間関係に対して不信感を持ったり、すべてをひとりで抱え込んでしまう傾向が強くなります。しかし、自分を支えてくれる家族や友人、職場の同僚などとのつながりを持ち続けることは、精神的な回復にとって非常に大切な要素となります。自分の置かれている状況や気持ちを共有することで、理解や協力を得られやすくなり、それだけで安心感が生まれることもあります。また、まわりの人が状況を知っていれば、非常時のサポートや通報など、被害を未然に防ぐための体制を整えることもできます。もし信頼できる相手が身近にいない場合でも、相談窓口や支援団体を通じて、新たなつながりを作ることが可能です。孤独にならないこと、助けを求めて良いという意識を持つことが、被害からの回復に向けた第一歩となります。

 

 

被害に気づいたときこそ、早めの行動と相談がカギ

元交際相手からの嫌がらせは、身近な関係だからこそ深刻化しやすく、精神的なダメージも大きくなります。一人で抱え込まず、少しでも異変を感じたら、証拠を残しながら警察や弁護士、支援窓口に早めに相談することが重要です。接近禁止命令や仮処分といった法的手段は、被害者の安全と安心を守るために用意された制度です。証拠が不十分でも、相談しながら対策を講じることで解決の糸口が見えてきます。また、心のケアを怠らず、信頼できる人とのつながりを保つことも忘れてはなりません。問題の解決には時間がかかることもありますが、正しい知識とサポートを得ながら進めていけば、必ず前に進むことができます。

 

 

 

この記事の作成者

この記事の作成者

トラブル調査担当:北野

この記事は、皆様が抱えるトラブルや問題の悩みに寄り添い、解決への一歩を踏み出せるきっかけになればと作成しました。日々の生活の中で困っていることや、不安に感じていることがあれば、当相談室へお気軽にご相談ください。どんな小さなことでも、お力になれれば幸いです。

この記事の監修者

この記事の監修者

XP法律事務所:今井弁護士

この記事の内容は、法的な観点からも十分に考慮し、適切なアドバイスを提供できるよう監修しております。日々生活をしている中でトラブルや問題ごとはご自身が引き起こさなくても起きてしまうこともあります。正しい知識と対処法は自身を守るためにも必要でしょう。時には専門家の手を借りることも必要になることがあるかもしれません。法的に守られるべき権利を持つ皆様が、安心して生活できるよう、法の専門家としてサポートいたします。

この記事の監修者

この記事の監修者

心理カウンセラー:大久保

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